2012年09月29日

医師21〜派遣の医師〜

■科は言えませんが、流しの医者です。
流しといっても住所不定ではありません。
仕事は医療専門の派遣事務所からもらいます。
派遣なので、メールで勤務内容と日時が送られてきたのを取捨選択して返事したり、こちらから希望日時を登録したり。
仕事が決まれば電車など交通機関で職場に行きます。
これは決まりではありませんが、到着時間厳守と身バレ防止策として私が勝手にやっていることです。
報酬はまちまちです。
でも仕事柄時給にはなりません。
一件あたりいくら、とか日給だったりします。
私は今のところ経験ないですが、内科当番医だと日給四万円という感じでしょうか。
麻酔科ならもう少しいきます。
人気は産科・麻酔科・内科と外科、他はあまり募集メールを見ないですね。
この仕事のいいところは、ものすごーーーく体が楽だということ。
指名もあるので、自分への評価がわかり、やりがいもあります。
もう勤務医に戻る気はありません。
不利・不安は特に感じません。
一応医療事故に備えて共済保険に入ってます。
しかし小さな事故なら、派遣先の病院が処理してくれる気がします。
これには根拠はないですが、派遣を必要とする病院なので、派遣を守ってくれる気がするのです。
このシステムが浸透していけば、ますます医療は崩壊するでしょう。
でも医者も人間なので、自分の基本的人権を守れるこのシステムは世の流れといえるでしょう。

■もともとは勤務医だったんですよね?
何故派遣のお医者さんになったのでしょうか?

>>スカウトされました。
勤務医の募集状況から、ダメでもいつでもどこでも働けると思って、気軽に辞めました。
辞表を出した時、「君には責任感というものはないのかあああっ」と医長に大声で怒鳴られた時、すっぱり未練が切れました。
もう誰かに奴隷のように仕える気はありません。

■ブラックジャックキター!
ゴメン、言ってみたかっただけw

>>BJは有り得ないっす。
オペ室の帝王といえば麻酔科医。
どんな外科医でも、麻酔科医には頭下げますから。
でも外科医は麻酔科医を内心軽んじているとは思うけど。

■変わった患者や、症状とかに当たったことはありますか?

>>派遣になってからはありません。
緊急性のない、医学的に興味深い患者さんは勤務医さんの取り分といいますか。
また難しい患者さんは受け入れませんし。

■フリーのお医者さまだと、いわゆる勉強などもご自身の負担でということになると思うのですが、派遣会社などでも勉強会があったりするのでしょうか?

>>勉強はしたい人はするし、しない人はしないで済むシステムなので個人の裁量の内です。
でも私も含め、流しを選んだ医者は「わぁーい、これで行きたい学会に行けるぅ」というノリですね。
勤務医ですと、勤務が優先ですから。

■ベテラン医師に「(救急)医療の崩壊はマスコミが6割くらい悪い」と伺ったのですが 先生のご見解はいかがでしょうか?

>>医療崩壊の原因は、マスコミも含めた時勢ではないでしょうか。
救急隊員の皆さんのご心労もお察ししますが、面白いことに、何かあった場合泥を被るのは受け入れた病院、担当した医師です。
たらい回しに受け入れなかった病院や医師はもちろん、救急隊の皆さんは無傷です。
こうなるともう、受け入れを拒否するのは自衛といえるでしょう。
しかし今更誰が悪かったのか、医療崩壊の責任追求してもしょうがないでしょう。
トラブルがあるたび、流しの医者は増えていく現実があるだけです。

派遣の医者のもっとも喜ばれる職務能力は、救急の受け入れ拒否というのが現実です。
「お母さんいないからわかりません」と子供が言うように、
最後の最後は「責任者ではないので、私が許可できません」と逃げるのです。

■流しのお医者さん、緊急災害時に呼ばれる医師団って、そういう派遣のお医者さんが呼ばれたりするんですか?
勤務医のお医者さんが緊急の医師団参加で長期留守にすると大変だろうなーと思ってたので。

>>親が元某日赤系勤務だったものですが、海外派遣はフリーの人ではなく、あらかじめ日赤に海外要員として登録(?)されてる人が行くそうです。
何語がしゃべれるとかそういうデータもあるんでしょう。
したがって彼等は普段は日赤病院の一医師もしくは看護師。
通常業務をこなしつつ語学の勉強も自主的にします。
病院には常にすぐ出発できるセットがスーツケースに詰めておいてあり、
上から召集がかかればその日のうちに院内で出発式→上記の荷物セット持って現地へGOだそうです。
イスラム圏に行ける男性は 現地の習慣に対応し 常にちょび髭もw
病院によってそういう活動の力の入れようは違うので、全部の日赤系がやってるわけではないそうです。
NPO系とかはまた別でしょう。

■風邪や擦り傷の患者を拒否したニュースって、聞いたことないでしょう?
実は風邪や擦り傷の救急患者さんは、搬送する隊員にも受け入れの病院にもおいしい患者さんです。
絶対受け入れるから。
そして風邪ならビタミンと消化剤、頓服でも処方して…というところで難しい救急の依頼があれば、すぐさま「大事をとって」入院させぶどう糖でも点滴します。
すると患者は「親切・丁寧」と喜んでくれるし、入院で保険点数が上がるし
救急に対しては「あいにくベッドが満床で」と断れるし、
対マスコミには「軽症者が救急車をタクシー代わりにしすぎる!」と こう言えるわけです。
もはや救急の現場は完全崩壊かもですね。
私の住む地域には画像専門クリニックというのがあって、そこは高価だけど精密な機械だけがあります。
オペ室もなければ外科医も麻酔科医もいません。
これが何を意味するか?
公立以外の病院が精密機械を手放して、画像検査はそこに依頼するわけです。
つまり救急に対して、双方が「設備がないので」受け入れ拒否の大義名分ができる仕組みです。
私立はレントゲンさえ置かない時代がくるかもです。
勤務医は待ち遠しいことでしょうね。
とはいえ、志高く日夜奮闘している医師はまだ多くいます。
地域全体で彼らを大事にしてあげて欲しいと思うし、我々派遣が彼らの一助になれればとは思います。

■救急隊:けが人です、収容をお願いします。
病院 :今日の当直医は内科医ですのでだめです。

一時間後、別の通報で出場。
救急隊:急病です、今度は収容をお願いできますよね。
病院 :今日の当直医は外科医ですので無理です。
救急隊:あんたさっき今日の当直は内科って言っただろ。
みたいなパターンってあり得ます?

>>あるかもしれませんが、それじゃ誠意がまったくなくて病院の評判を落としますし、事故でもあればその対応は大問題になるので、そんなのがフリーならまず「あの人以外」と病院から言われそうですね。
私は徹頭徹尾誠意をもって断るようにしています。

救急隊:けが人です、収容をお願いします。
病院 :(切迫した声で)容体は?!今日外科医はおりませんが、受け入れは可能です!
救急隊:〇×△□です!
病院 :(何を言われようと)それじゃ外科ですね!(心底申し訳なさそうに)…お力になれなくて残念です…。

一時間後、別の通報で出場。
救急隊:急病です、今度は収容をお願いできますよね。
病院 :(切迫した声で)容体は?!内科医がいます!受け入れは可能です!
救急隊:〇×△□です!
病院 :(何を言われようと驚愕した声で)脳内出血の・心筋梗塞の・胃穿孔の・腹膜炎の・子宮外妊娠の、疑いがあります!
(心底申し訳なさそうに)…申し訳ありません、外科医がいなくてお力になれなくて残念です…。

当番医として外科がいるのが明白な場合は
病院:(心底申し訳なさそうに)申し訳ありません、先生は今オペに入ってしまって…お力になれなくて残念です…。

まぁ、当直医は入院患者のためにいると覚悟した方がいいですよ。
私でさえ、契約時間の30分前に入って引継ぎするし、急変のありそうな患者のカルテは頭に入れています。
病院が受け入れる救急患者は、救急車を必要としない、自分で来院して長時間待てる患者さんとなっていくでしょう。
もちろん私が当番医なら、待合室で悪化したなら救急車を呼ぶ覚悟もありますよ。
国民の皆様のご希望通り、責任持って対応できないなら、誠意をもって119番します。
それで何かあっても、「なぜ最初から救急車で来なかったのかわからない…」と沈痛な顔を作れば済むことです。
最大限リスクを回避するのが職務と心得ています。

医師20〜離島の医師〜
バカなの?



posted by 現実主義 at 00:00| 仕事・企業・学校 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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